2012年10月7日~10月13日
レポーター:事務職 男性
(※所属部署は研修時のものです。)
設立:1949年
売上約660億円
生産量:600万本(ボトル)
輸入商品:テール・ドゥ・ラ・ロキーユ、CHトゥール・プルニャック、CHバレール
フランス・ボルドー地方に位置するカステル社はフランスNo.1のワインメーカー。
カステル本社で行われたプレゼンテーションでは、営業部長であるベルトラン・コニック氏からカステル社の歴史や企業理念・今後の展望についてお話をして頂きました。
カステル社は設備投資にも力をいれており、テラ・ヴィティスの認証も受けています。
テロワール毎に1~2人のコンサルタントを付けるほど徹底振りで、畑に関して妥協は一切しないという強い思いを感じることが出来ました。
その後、CHバレールの醸造場を訪問しました。私達が訪問した時期は丁度メルローの収穫が始まった所で、実際にメルロー種を試食する事が出来、メルロー特有の果皮の厚みを感じる事が出来ました。醸造場内ではルモンタージュを行っている最中で、想像していた以上にアバウトに行っていて非常に驚きました。
ルモンタージュの様子 発酵13日目のメルロー試飲
二つ目に訪問したのはCHトゥール・プリニャックです。
このシャトーも訪問した日が収穫の開始日で、収穫したばかりの果実を試食する事が出来ました。工場内を見学した後に行ったテイスティングでは、トゥール・プリニャック・グラン・レゼルヴのヴィンテージ2007・2008・2009・2010を垂直試飲する事が出来、各年代のヴィンテージの個性や特徴をより明確に感じる事が出来ました。個人的には、2009VINがしっかりした果実味と程よい酸があり、美味しく感じました。一方で、2008年はまだ若く香りも閉じていて飲み頃には程遠かったのですが、抜栓後、空気に触れていくにつれて香りも現れ、全く別のワインに変わっていきました。改めてワインの奥深さと楽しさを体験する事が出来ました。また、このシャトーでは消費者の手に届く頃に飲み頃になるよう逆算して出荷をしており、飲む人間の事を第一に考えて製造しているという事がとても伝わって来ました。
最後に訪問したのは、CHベイシュベルです。シャトー内では葡萄が人の手で一粒一粒丁寧に扱われており、さすがメドック格付け4級シャトーだなと感じました。
貯蔵庫内ではOXOシステムという方法を採用し、比較的簡単にバトナージュの効果を与える事が可能になっています。また、樽は25%新樽を使用し、ミディアムローストのアメリカンオークを使用する事でメルローのスパイシーさや果実味を引き出してくれるとの事でした。参加したセールスからは「いつかこのクラスのワインを扱えるようになりたい」など、建設的な話も出てきていました。
籠を背負う社員 OXOライン
○ C.V.B.G社概要
設立:1840年
売上:150億円
生産量:300万ケース
輸入商品:デロー、CHグリモン、ドメーヌ・ド・モンラベッシュ、セラム
ボルドーにある3大ネゴシアンハウスのひとつ。
フランス国内では主に業務用商材として販売、輸出では世界80ヶ国以上の国々に得意先を持っています。
フレデリック・オリバー氏のプレゼンテーションでは、まず会社の概要や当社が新発売するセラムの説明及びテイスティングを行いました。
セラムはセパージュワイン(ヴィオニエ・カベルネS・シラー)3種類は、各品種の個性がしっかりと現れ、出来上がりがとても良く感じました。その後、メンバーに価格を伝えた所、あるメンバーから「この味で1,000円代なら間違いなく売れる」という力強い意見を頂きました。
その後、敷地内を見学させて頂き、2年前に建設したばかりのロジスティックセンターを間近で見る事が出来ました。今回の研修では、ワイン造りの現場を見る事と同時に海外のロジスティックスの部分がどのように運営されているかにポイントを当てていたので、C.V.B.G社ではその両方を見る事が出来、とても勉強になりました。地面に直にロケーション番号を書いて管理するあたりは当社契約倉庫でも活用出来るのではないかと感じました。
更に、倉庫の奥ではCHムートン・ロートシルトから始まり、格付けシャトーのワインがずらりと保管されており、メンバー全員非常に驚いていました。
セミナーの様子
○ ラベントス・イ・ブラン社概要
設立:1986年
売上:5億3000万円
生産量:6万ケース
輸入商品:ラベントス・レゼルバ・ブリュット、ラベントス・GR・デ・ラ・フィンカ
ラベントス・ロゼ・デニート
葡萄畑が広がる中に近代的な建築物とオークの木が非常に印象的な施設です。
ラベントス・イ・ブラン社のシンボルでもあるオークの木は近年折れてしまったそうですが、今なお青々とした緑の葉が生え、シンボルとして存在感がありました。
メンバーは一面に広がる葡萄畑に驚いていました。シャトー初見学のメンバーは今まで写真などでしか見た事がなかった、株仕立てや垣根仕立てを熱心に観察していました。
敷地内を一通り回った後はサプライズでテイスティングがありました。カヴァの畑を見下ろしながらラベントスを飲む。メンバー全員感動すると共に「産地の魅力を最大限に活かした商品の見せ方は見習わなければいけない」という意見も出ていました。
工場内の見学では、澱抜きからラベル貼りまで行うラインを見学し、葡萄の生育からワインの箱詰まで肌で感じる事が出来ました。
施設内では最後に貯蔵庫を見学し、ピュピトルに差された何百本のボトルを全て手作業で回転させている事にとても驚いていました。そして、丹精込めて造られているカヴァなんだと改めて感じました。その後、貯蔵庫でもカヴァのテイスティングをさせて頂きました。
案内をして頂いたエスカーラ氏からは、ラベントスのカヴァに対しての熱いお話がありました。それは、ラベントスは他メーカーのカヴァとは全く異なるものだと理解してほしいという話でした。カヴァとはペネデス地区の気候・土壌や栽培する品種そのものから来るテロワールがあってこそ。しかし、近年では様々なカヴァが登場し、その事が理解してもらえない状況があり、だから、私たちはゆっくりと本来のカヴァを理解してもらえる市場づくりを行っているとの事でした。この話を受けてメンバーからは「日本でも同じような現状なのは確か。もう一度、カヴァについて消費者に再認識して貰える様な働きかけが必要。」という意見が出ていました。
その後、アマット副社長とエスカーラ氏と食事を行い、ハーフボトルの話やスティルワインのアイテムについてなど様々な話を交わし、最後に当社事務局より取引開始から8年が経過したが、今後もブランド拡売に力を入れていくとの話で締めくくりました。
丘の上からの風景 テイスティング
今回の研修ツアーではフランス・ボルドーの伝統的な造り、スペイン・カタルーニャの伝統と技術の融合、そしてそれぞれの国・地域の料理とのマリア—ジュを肌で体験する事が出来ました。フランス人・スペイン人に関わらず、心の底から食事とワインを楽しんでいる姿は日本人ももっと見習うべきだなと感じました。今回訪問させていただいたメーカーは、ネゴシアン2社とメーカー1社という事で、商業的な面と農業的な面の両面を目で見て感じる事が出来ました。
特にラベントス・イ・ブラン社では、隅々まで見学・体験する事が出来たのではないかと感じました。今回、参加したメンバーにはこの経験を今後の営業活動で十二分に活用するとともに、他の営業員への情報発信も期待しています。
また、国際事業本部としてもこういった研修時の情報や畑の写真などをもっと多くの方と共有し、知識を深めていけるよう努力します。